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【誠遠新訊】No.13 不動産優先購入権に関する「赤い注文書」の転売禁止

(翻訳者:松見日帆子)

投機目的の不動産売買による住宅価格の高騰を抑制するため、いわゆる地政三法の修正案が台湾の立法院(国会)を通過し、2021年1月27日に交付、同年7月1日に施行されました。修正箇所は、「平均地権条例」第47条、第47条の3、第81条の2、「地政士法」第26条の1、第51条の1及び「不動産仲介業管理条例」第24条の1、第29条です。


1.所管官庁による販売前の住宅の事前検査
台湾では、将来販売が開始される予定の建物について、購入予約の更に前段階の、優先的に購入予約できる権利を約定した書面を建築販売会社から購入することが盛んに行われています。当該書面には、対象物件と販売価格が記載され、建設販売会社控え、顧客控え、記帳用の三連式で、慣習として赤い紙が用いられるため、赤い注文書を意味する「紅単」と呼ばれています。紅単に基づく優先予約権には建物購入義務が付随しないので、建物を購入しないことにした場合は紅単購入金額の全額の払い戻しを受けることができます。完成した建物を購入する場合には、紅単購入価格を頭金として充当し、不動産売買予約契約を締結します。

 


建築販売会社は、紅単を発行する時点で、物件所在地を管轄する主務機関に、物件の所在地、建築物の名称、販売場所、販売期間、棟数部屋数及び販売時に使用する予定の不動産売買予約契約書の雛形を書面で届け出なければなりません。届出義務違反の罰則は、NTD3万元以上15万元以下の過料及び所定の期間内に改善されなかった場合繰り返しこれを科すというものです(平均地権条例第47条の3第1項、第81条の2第3項)。なお、不動産売買予約契約書の雛形については、建物の用途が住宅の場合のみ届出が必要です。

 

2.「紅単」と「不動産売買予約契約書」に関する義務と制限の差異

  販売価格登録義務 転売禁止
紅単の取得 なし 第三者への転売禁止
(平均地権条例第47条の3第6項)
不動産売買予約契約 締結後30日以内に契約内容を届け出て販売価格を登録 なし

 

(1)販売価格登録義務
売主は、不動産販売予約契約の締結から30日以内に、契約内容を地政事務所へ届け出て販売価格の登録をする必要があります(平均地権条例第47条の3第2項)。届出義務者である売主とは、不動産開発業者ですが、販売仲介業者を通して契約した場合は販売仲介業者です。違反した場合の罰則は、NTD30万元以上100万元以下の過料です(同条例第81条の2第4項)。面積や販売価格といった核心の項目以外であっても、不実の記載があれば違反とされ罰則が適用されます(同条第4項)。
 
(2) 転売の禁止
改正平均地権条例第47条の3第6項に「現行の証書は第三者に転売してはならない。」と規定され、紅単の第三者への転売が明文で禁止されています。

 

ここで、「第三者への転売」の意味を確認してみましょう。まず「転売」とは、仕入値と販売価格の差による儲けが生じる場合だけでなく、仕入れ値で転売する行為も禁止されています。次に、「第三者」ですが、夫婦間でも第三者にあたるのか等について、明文上の例外規定は用意されていません。ただ、投機的な売買の連鎖による価格高騰を抑制する立法趣旨からみれば、そのような恐れのない取引まで禁止する必要はないように思われます。この点について当事務所から管轄当局へ問い合わせたところ、次のような趣旨の回答でした。

 

「平均地権条例第47条の3第6項に基づく紅単転売禁止の立法趣旨からみて、民法第1138条が定める配偶者、直系血族又は二親等内の血族等の親族関係であれば処罰の対象から除外されると解される。例えば、紅単の転売が、夫婦間、親子間の権利移転であれば処罰されない。一方、事実婚の伴侶の間で転売した場合は、婚姻届出制度が存在する以上、両者の関係を証明できないものとして、第三者への転売と解され、処罰される可能性が高い。」

 

なお、違反への罰則は、各物件ごとにNTD15万元以上100万元以下の過料が買主側に科されます(平均地権条例第81条の2第6項)。

 

3. 「必須2つとダメ3つ」の原則
いわゆる「必須2つとダメ3つ」の原則とは、不動産予約販売の優先権の販売につき、次の必須事項と禁止事項をいいます。

 

必須事項:
・売主は、予約金又はこれに類する名目の金員を受領したときは書面による証書(紅単)を交付すること
・売主は、物件と価格を明確にすること

 

禁止事項:
・売主は、最終的な売買契約を締結するかどうかを買主側が保留にしてはならない
・このほか買主に不利な事項を約定してはならない
・買主は、紅単を転売してはならない

 

違反した場合は、各物件ごとにNTD15万元以上100万元以下の過料が科されます(平均地権条例第47条の3第5項、第81条の2第6項)。

 

4. さらなる改正の動き
不動産価格高騰の抑止は台湾政府にとって目下の需要な政策のひとつと考えられます。不動産関連の事項を所管する内政部は、2021年12月9日に内部会議でさらなる法改正の草案を承認しました。草案の内容は、規制を強化する方向性で、「不動産売買の前段階の購入権の転売を全面禁止、購入予約権への投機行為について厳罰化し3年以下の懲役又はNTD5千万元以下の罰金を科す、購入予約を解約する場合30日以内の届出を義務化、建物の購入を許可制とし5年内の権利移転を禁止、検挙のための情報提供に報奨金」などです。規制の必要性の視点からは行き過ぎた感じのするアイデアも盛り込まれていますが、今後行政院を経由して立法院に送られ審議される過程で、様々な意見を取り入れて調整されるものと思われます。

(参照:内政部地政司ウェブサイト:https://www.land.moi.gov.tw/chhtml/content/10?mcid=4429)

 

上記のように、台湾では昨今、不動産を取り巻く法令が断続的に見直されている状況にあります。不動産の販売を行われる際または不動産の購入を検討される際には、後になって行政法上の義務違反への罰則や高額な所得税の負担などの不利益を被らないように、土地建物一体税制2.0や地政三法などの最新の法改正をよく把握してから決めるようにしましょう。ご不明のことがあれば、どうぞ遠慮なく当事務所へご相談ください。