専門分野

税務・税務訴訟

取引や投資にあたっては、事前に税務面を考慮して計画する必要があり、これは財務会計だけでなく法律問題でもあります。昨今、国際的に租税回避やマネーロンダリングの防止が強化されており、節税に偏重しすぎると大きなリスクを負うことになりかねませんので、バランスの取れたスキームを採用し、契約書等に落とし込んでおくことが大切です。

台湾は比較的行政の裁量が大きく、地域や窓口ごとの担当者によって対応にブレがみられることから、税務の手続等においても、余計な手間とコストがかかりがちです。一方で、税務署の意見に不服があれば、税務調査での交渉や、再調査請求、審査請求、訴訟の各行政救済手続きをとおして、納税者側の主張が認められる可能性も低いともいえません。

税法は頻繁に改正され変動する法領域ですので、学術機関や実務者間で連携し検討会を開くなどして、常に最新情報をアップデートする必要があります。当事務所は、事後的な情報収集に留まらず、例えば「海外の資金を台湾へ戻す際の取扱い及び課税に関する命令」等の立法政策について、台湾の国会にあたる立法院に対して様々な専門家意見の提供をしてきたほか、管轄官庁への法令解釈書面の請求や、所得税法に定める同業利益標準の改定についての意見提出等、前向きな取り組みを活発に行っています。

税務に関する当事務所の主なサービス内容は、次のとおりです。

01
個別案件の税務スキームの計画と実行のサポート
02
法令や実務取扱いの変更に対応した税務戦略のアドバイス
03
法務面及び、節税効果、税務リスク低減、二重課税の回避、税務手続きの便宜等の観点からの契約書レビュー
04
税務に関する相談への対応
05
管轄官庁への租税法令解釈書面の請求
06
税務調査の対応
07
督促や強制執行に対する分割払いや支払方法等の交渉
08
台湾の租税及び関税についての、行政救済や違憲審査の申立て

本所服務特色

01
税法を専門とする弁護士が、税務、会計及び法務を総合的に勘案したアドバイスを提供します。
02
不動産、金融商品、再生可能エネルギー、ゲームやアニメなどのコンテンツ等の特殊領域の取扱い経験も豊富です。
03
台湾、日本、中国、香港、シンガポール、アメリカ等の現地の提携先と緊密な関係を保持し、クロスボーダーの取引や投資にも対応可能です。

よくあるご質問

Q1.(税務訴訟)税務当局からの追納処分やペナルティについて早期の示談解決を図るべきでしょうか?

A1.税務当局の意見に準じて多少減額してもらえれば良いという方針で示談するのも、ひとつの解決手段として否定できませんが、納得できる結論に導くことができないことがしばしばです。

当局の依拠する課税やペナルティの根拠について、事実認定の誤り、法令の解釈や適用の誤り、立証責任の分配の錯誤などを見つけ出し、事実と法的根拠に基づいた説明をして、しっかりと交渉すべきです。

また、早期示談成立を目指す場合は特に、税務当局からいろいろな情報の提供を求められますが、もし、法律上の提出義務の有無や提出による影響を十分に考慮せず、要求されるまま闇雲に取引情報を開示してしまうと、予期せぬ新たなリスクを招くことになりかねませんので、情報開示の是非や範囲についても検討のうえで対応すべきです。

Q2.(税務訴訟)税法専門弁護士は会計士とどのような違いがありますか?

A2.会計士は様々なクライアントの税務申告のコンプライアンス業務や記帳代行などの業務を手掛けているため、税務当局とのやり取りにおいて、他のクライアントの業務に影響しないよう穏便にすませたいという心理が働きがちです。

一方、税務専門弁護士は税務申告業務などを行わないため、クライアントの権利利益を守るために最善の行動をとりやすい立場にあります。

そして、税法は結局のところ一種の法律です。税務分野について十分な訓練を受けた弁護士であれば、法律だけでなく財務会計等の実務についても見識があり、先例のない税務問題に対しても法的解釈の専門性により対処することができます。

Q3.(台湾税務)台湾会社から海外の役務提供者への報酬支払いの源泉徴収

A3.台湾企業が外国企業や台湾国外の個人から提供された役務(研究開発など)の報酬についての源泉徴収の要否は、報酬の支払者と受領者の双方にとっての問題です。もしきちんと処理しなかった場合、どのような問題が起こり得るでしょうか。まず、支払者側には源泉徴収義務がありますので、源泉徴収漏れに対して自国の税務当局からペナルティを受ける可能性があります。納税義務者である受領者側は、税引き後の手取り金額が思っていたより少なかったり、自己の所在地国の税務当局から外国税額控除が認められなかったりという可能性があります。

理論的には、外国人(法人を含みます)は台湾政府に対して、台湾に発生源泉がある所得についてのみ税金を支払う義務があり、台湾外を源泉とする所得については納税義務がありませんので源泉徴収義務は生じません。「役務の提供に対する報酬」の源泉地については、国際的な判断基準によるならば、「役務提供地」の原則に基づき、役務提供を行った場所が台湾外の場合、その対価は台湾源泉所得ではなく、源泉徴収されるべきではないはずです。しかし、台湾においては、役務報酬とは「人による役務提供の対価」に限定され、「法人団体による役務の対価」については事業所得に属すると解され事業所得の源泉地の判断基準である「役務成果の使用地」の基準を採用するとされています(台湾の最高行政裁判所2000年5月第2回裁判長会議)。よって、企業が提供する役務については、たとえ台湾外で行われたとしても、成果の使用場所が台湾内である限り、台湾源泉所得として源泉徴収義務が生じることにご留意ください。

役務報酬の源泉徴収に纏わるリスクを低減するための実務的な解決方法としては、例えば以下の3通りが考えられます。
1.契約において、支払者が源泉徴収税額を負担するものとして税額を織り込んだ金額で約定する。
2.台湾所得税法第25条(台湾源泉所得の 実額計算ができない場合にみなし利益率の適用を認める制度)に基づく優遇税率の適用を申請する。
3.外国会社又は個人が台湾に恒久的施設(Permanent Establishment:PE)を有していないため、台湾での事業所得について台湾へ納税する義務がなく源泉徴収義務が生じないと主張し、日台租税協定第7条適用の事前申請を行う。

個別の案件については、状況に応じて具体的に検討する必要がありますので、豊富な経験と実績のある当事務所へお問合せください。

Q4.(台湾会社法)会社設立業者からの、台湾会社設立に際し、株主が自らの資金を通じず、銀行から資金を借り入れて資本金払込をし、会計士の資本金監査後3日経ってから銀行に返済すればいいという設立時の見せ金に関連するアドバイスを聞くことがありますが、本当に問題ないでしょうか?

A4.台湾の会社法の規定により、股份有限公司(株式会社に相当)又は有限公司(合同会社に相当)が負担する債務については、株主はその出資額を限度として債権者への弁済の責任を負うとする「有限責任」です。反対に、個人事業の場合、個人の現在と未来の財産をもって「無限責任」を負うこととなります。つまり、有限責任の形態の会社は、出資者の財産的リスクを低減する一方で、債権者にとっては十分に債権が担保されないといえます。そのため、台湾会社法は会社の資本について「資本確定原則」を要求しており、会社の資産(現金、知的財産権、固定資産、棚卸資産など)は定款に定める資本額と一致しなければならず、会社運営上の取引によって若干の際が出たとしても、少なくとも会社設立時の出資や増資の払込時においては、出資された資産と資本額が合致していなければなりません。

台湾会社法第9条第1項に「会社の出資金について、実際には株主から払い込まれていないにもかかわらず申請書では全額支払われていると表明し、又は、株主が実際に払い込み登記後に株式の対価を株主に返還した場合もしくは会社が株主による株式の対価の回収を容認した場合、会社責任者は各々5年以下の懲役、禁固若しくはニュー台湾ドル50万元以上250万元以下の罰金を科し又はこれらを併科する。」と規定されています。このほか、会社の経営者は、会社又は第三者に損害を及ぼした場合、株主と連帯してその損害を賠償しなければならず、また、判決が確定したときは、会社は主管機関により登記を廃止されます。このように、一時的に融資を受けて出資する見せ金行為は、民事及び刑事罰の大きなリスクがあり、お勧めできません。

Q5.(台湾税務)(台湾会社法)台湾会社に技術などを現物出資する場合の税務リスクを教えてください。

A5. 台湾の会社法第156条第5項は「株主の出資は、現金のほか、会社に対する金銭債権、会社の事業に必要な財産又は技術をもって充当できる。その充当金額は取締役会の決議による。」、同法第272条は「会社が新株を公開発行する場合、現金をもって株式の対価とする。ただし、従来の株主に割り当てる場合又は特定の者との協議により割り当てる場合であって、公開発行でないときは、会社の事業に必要な財産をもって出資することができる。」と定めています。つまり、会社の設立又は増資に際して、株主は、債権、資産、技術による金銭以外の出資方法を選択することができます。特に技術の出資については、技術力はあるが現金がない新興ベンチャーが株式を取得する方法に適しているといえます。

ただし、実際には、財務部(財務省に相当する行政機関)の通達によれば、「会社の株主は2014年1月1日以降、技術等の無形資産を出資に充当した場合、当該無形資産により充当された株式の対価の金額が当該技術に関する取得価額を超える部分の金額について、財産取引所得(訳注:日本の所得税法における譲渡所得に相当)とし、株主は所得税法の規定に従い所得税を申告納税しなければならない。」とされています。この場合、ベンチャー企業や技術者が技術提供と引き換えに株式を取得する行為が明らかに出資であっても、株式を売却等して資金化しておらず手元に現金がないにも関わらず、財務部により現物出資による払込み時点で所得が発生したと認定され、所得税を課されることとなります。しかも当該技術の取得価額の証明が難しい場合がほとんどですので、技術出資に対して割り当てられた株式の価額がそのまま個人の財産取引所得と見做される例が少なくありません。

立法院(国会に相当する代議機関)は後になって、中小企業発展条例と産業創新条例により、一定の条件を満たす場合の猶予措置(株式の取得時でなく処分時に始めて課税)を定めましたが、これはあくまで納税時期の猶予であって、納税義務はなおあることに注意が必要です。

ベンチャー企業の立ち上げや出資お考えの方で、法務面や税務面の留意点などについてサポートが必要な方は、お気軽に当事務所へお問合せください。

Q6.(台湾税務)(マネーロンダリング防止)「台湾内及び台湾との国際送金について、ニュー台湾ドル50万元未満且つ家庭費の使途なら銀行から税務当局に通知されない」という噂は本当ですか?

A6. 税務上及びマネーロンダリングを疑われるリスクに繋がる可能性がありますのでご注意ください。

台湾では2017年にマネーロンダリング防止法が施行されました。同法第3条において、租税徴収法上の脱税罪、源泉徴収漏れの罪、脱税教唆の罪が、マネーロンダリングの前置犯罪である「特定犯罪」に該当するとされています。特定犯罪によって得た収益を、所得の粉飾や隠蔽又は刑事訴追から逃れることを意図して、他の者の所得として移し替えることで、その収益の本質、出所、行方、所在、所有権、処分権その他の権益を誤魔化すことだけでなく、その収益を受領、保有、使用する方も、法律上マネーロンダリングを行ったことになります。脱税とマネーロンダリングは連動しており、必然的にマネーロンダリングの捜査機関が連携して互いに情報伝達や告発をする仕組みを構築しています。

台湾の金融監督管理委員会が公布した「金融機関による一定額以上の通貨取引およびマネーロンダリングの疑いのある取引の報告に関する規則(中文:金融機構對達一定金額以上通貨交易及疑似洗錢交易申報辦法)」によると、一度にニュー台湾ドル50万元以上の現金の授受又は通貨取引」について、金融機関は顧客に対して所定の本人確認手続きを行い、本人確認の記録及び取引の証憑の原本を5年間保存するとともに、5日以内に法務部(法務省に相当する行政機関)に届け出る必要があります。

ただし、送金額がニュー台湾ドル50万元に満たないと何ら規制されないということではありません。「金融機関マネーロンダリング防止規則(中文:金融機構防制洗錢辦法)」によると、「マネーロンダリングやテロリズムの資金とするための取引である疑いがある様態」に該当するだけで対象となます、どのような取引が該当するのかが金融管理監督委員会2017年6月28日付通達「疑似洗錢或資恐交易態樣」に記載されており、例えば、敢えて届出が必要な特定金額未満の金額に分けて送金され累計金額が特定金額に達している、普段使われていない口座で突然特定金額以上の取引があった、台湾内外での送金理由について合理的に説明がつかないなどの状況がみられる場合、一度に送金される金額の大小にかかわらず、金融機関がすべて調査局へ通報しなければなりません。(参照:附錄 疑似洗錢或資恐交易態樣

このように、取引内容の合法性、合理性、必要性、支払名義の正確性について説明が付くようにしておくことが、脱税やマネーロンダリングを疑われるリスクを回避するための大切なポイントです。当事務所は、国際取引及び国際課税のプランニングに関する豊富な経験があり、クライアントのニーズに応じて、取引効率と法的リスク管理を勘案した取引スキームのアドバイスや契約書作成等のサービスを提供しています。ご不明のことがおありでしたら、お気軽にお問合せください。