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No.8【Covid-19に対応した減税】

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COVID-19の流行が及ぼす様々な業界への影響につき、台湾の財政部(財務省に相当する行政機関)は特設ウェブサイト1を設置し、「重度特殊伝染性肺炎の予防及び救済振興に関する特別条例」2(中文:嚴重特殊傳染性肺炎防治及紓困振興特別條例。以下「特別条例」といいます。)を根拠法令として、一連の租税優遇措置を用意しました。ただし、過去の租税優遇措置と同様に、対象となる条件、資格、実施機関に一定の制限があります。この記事では、COVID-19対応特別税制の中で一般市民に関係のある内容を下表に纏めました。エピデミック対応であり実施期間が短いですので、条件に該当するか早めに検討することをお勧めします。

 

番号

租税優遇措置

適用対象

注意事項

雇用主は従業員に対し、防疫隔離休暇(中文:防疫隔離假)又は防疫隔離看護休暇(中文:防疫照顧假)の期間の賃金を本来は払う必要がないが、支払う場合は人事費用の損金算入を2倍の金額で計算できます。(特別条例第4条)

従業員に防疫隔離休暇又は防疫隔離看護休暇の期間の賃金を支払う雇用主

  1. 1. 「隔離看護休暇」とは、高等学校以下の教育機関の授業停止により世帯主が子の世話をするための休暇を取得するもので、「防疫隔離休暇」とは、従業員自身やその世話を受けなければ自立して生活できない親族が衛生主務機関からの隔離検疫措置通知を受けて休暇を取得する必要がある場合をいいます。3
  2. 2. 当該従業員の賃金につき他の租税優遇措置を適用される場合は併用不可(特別条例第4条第2)。4
  3. 3. 雇用主は会社に限らず、機構、事業単位、学校、法人、団体その他従業員の給与所得の支払元であればすべて該当します。
  4. 4. 適用期間:2020年1月15日~2022年6月30日5

税務当局は納税義務者の延納又は分納をできるだけ受諾するとしています。

COVID-19流行の影響を受け所定の期間内に納付できない納税義務者

  1. 1. 各税目所定の納付期間内に申請書6及び関連する補足文書を提出すること。
  2. 2. 「重篤で特殊な伝染性肺炎流行の影響を受けた」とは、企業の経営状況が困窮して事業所管官庁から救済措置を受けたもの。「関連する補足文書」とはそのような影響の証憑で、財務部は範例7を用意しています。
  3. 3. 延期又は分納の可否は、納付すべき税額の多寡に関係ありません。延期は最長1年、分納は最大3年36回払いです。
  4. 4. 税額の多寡は、適用可否にはかかわらないものの、従来は台湾財務部の「納税義務者の延納又は分納の申請の弁法」(中文:納稅義務人申請延期或分期繳納稅捐辦法8に基づき、延期後の納付期限や分割回数の基準とされていました。これが「徴税機関における厳重特殊伝染性肺炎(COVID-19)流行の影響を受けた納税義務者からの延納又は分納の申請の審査原則」(中文:稅捐稽徵機關受理納稅義務人因嚴重特殊傳染性肺炎(COVID-19)疫情影響申請延期或分期繳納稅捐審核原則9により改定されました。
  5. 5. 適用できる税目:個人総合所得税(所得税に相当)、建物及び土地総合譲渡所得税、営利企業所得税(法人税に相当)、営業税(消費税に相当)、貨物税(特種消費税)、たばこ・酒税、特殊貨物及びサービス税(いわゆる贅沢品消費税)、住宅税、地価税、車両免許使用税及びこれらの利息、延滞金、申告遅延金、罰金。
  6. 6. 適用期間:2020年1月15日~2022年6月30日10

営業税を政府の査定した金額で徴税される事業者(小規模事業者)は元々査定された売上額及び営業税額の減額を申請することができます

査定課税方式を採用している事業者

  1. 1. 税務当局からの減額措置を受動的に待つのみならず、所定の申請書11により主導的に申請することができます。
  2. 2. 財務部は、2021年第2四半期(4月~6月分で81日から徴収開始)に49万件あまりの査定事業の営業税がNTD23,000万円以上削減されると見積もっています。12
  3. 3. 適用期間:2020年1月15日~2022年6月30日13

 

パンデミックの状況は随時変動しますので、当事務所も状況をみて適時に主務機関に確認し、記事を更新等する予定です。個別具体的な事案については当事務所へお気軽にお問合せください。

 

周泰維  パートナー弁護士:david.chou@eternity-law.com

松見 日帆子 シニアカウンセル:hihoko.matsumi@eternity-law.com

 

*この「誠遠法律ニュース」は,ご参考に供するもので,当事務所が特定の事案に対する立場や意見を表明し又は読者に何らかの措置や権利の主張を勧めるものではありません。


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1. https://www.mof.gov.tw/covid19,最終閲覧日:2021年5月27日。
2. 嚴重特殊傳染性肺炎防治及紓困振興特別條例:https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=L0050039,最終閲覧日:2021年5月28日。

3. 詳細な規定は台湾財政部の「嚴重特殊傳染性肺炎員工防疫隔離假薪資費用加倍減除辦法」をご参照ください。https://www.mof.gov.tw/covid19/download/e47a5add2e404a60b5ff82359eae51cc,最終閲覧日:2021年5月27日。

4. 特別条例第4条第2項「給付員工之薪資金額已適用其他法律規定之租稅優惠者,不適用。」

5. 特別条例の施行期間は、2021年5月31日に成立び交付された「修正嚴重特殊傳染性肺炎防治及紓困振興特別條例第十一條及第十九條條文」により,2021年6月30までから2022年6月30日までに延長されました。http://lci.ly.gov.tw/LyLCEW/agenda1/02/pdf/10/03/14/LCEWA01_100314_00119.pdf,最終閲覧日:2021年6月1日。

6. 個人申請書:https://www.mof.gov.tw/covid19/download/2626c8c8fc7c4746bad15cb8c067d238、営利事業申請書:https://www.mof.gov.tw/covid19/download/d99a1426269b4ca8a88095c5705f2717、地方税申請書:https://www.mof.gov.tw/covid19/download/df7b713dc0c046c5ac92144785a7bbdc,最終閲覧日:2021年5月27日。

7. 証明文書の範例:https://www.mof.gov.tw/covid19/download/b6f19b420b6544ebaeaa145ef57b04f5,最終閲覧日:2021年5月27日。

8. https://law.moj.gov.tw/LawClass/LawAll.aspx?pcode=G0340138,最終閲覧日:2021年5月27日。  

9. https://www.mof.gov.tw/covid19/download/b1f4743059f54fd19c9fbe7b646cd732,最終閲覧日:2021年5月27日。

10.「稅捐稽徵機關受理納稅義務人因嚴重特殊傳染性肺炎(COVID-19)疫情影響申請延期或分期繳納稅捐審核原則」は、この記事の執筆時点では未だに2021年5月31日の改正前の特別条例第19条に紐づいているため、実施期間が2021年6月30日までとなっています。今後特別条例の改正(実施期間が2022年6月30日まで延長された)に対応するため、当該審査原則の実施期間が相応的に延長されると思われます。

11. https://www.mof.gov.tw/covid19/download/2f0ac65346654cfcb9555def8bfe3099,最終閲覧日:2021年5月27日。

12. 台湾財政部のニュースリリース:https://www.mof.gov.tw/singlehtml/384fb3077bb349ea973e7fc6f13b6974?cntId=bbc74726d8fa4486b7a150e7762ec393,最終閲覧日:2021年5月28日。

13. 今回の租税優遇措置の実施期間は、根拠法令である特別條例の施行期間と同じです。2021年5月31日の延長により、今のところ2020年1月15日から2022年6月30日とされています。