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No.5【COVID-19に関する労務問題】

新型コロナウイルスによる伝染性肺炎COVID-19の流行に対応して、台湾では、立法院が、厳重特殊伝染性肺炎予防及び救済特別条例(中文「嚴重特殊傳染性肺炎防治及紓困振興特別條例」)を制定して明確な防疫隔離休暇を定め、中央流行疫情指揮センターが、中華民国109年(2020年)23日肺中指字第1093700056号通達により、労働者は防疫看護休暇を取得できる旨を示し、労働部も、防疫期間の休暇及び労働安全衛生に関する情報を随時更新しています。台湾労働部からも様々な施策が発表され、随時アップデートされています。本稿では、休暇種別、海外拠点との往来に関連する事項の概略をピックアップしました。

 

  • 隔離措置期間の休暇種別及び給与
  • 感染し又は隔離/検疫を受ける期間
  1. 1、業務上の原因による感染又は隔離/検疫
    雇用主は感染した労働者に対して公傷病休暇、賃金相当額補償
    雇用主は感染者した労働者の死亡、失能、傷病につき職業災害補償
    在宅又は集中隔離/検疫の場合、雇用主は「防疫隔離休暇」を与えなければならない
    欠勤とみなし又は私用休暇等の他の種別の扱いを強要してはならない。精勤手当の控除、解雇その他の不利益な取扱いをしてはならない。
    雇用主の帰責事由によるときは、給与は支払われるべき
  2. 2、業務上ではない感染又は隔離/検疫一人で生活できない家族が隔離/検疫を受け世話をするために休暇を取得
    雇用主は在宅又は集中隔離/検疫者に「防疫隔離休暇」を与えなければならない
    労働者は、私傷病休暇、年次有給休暇又は私用休暇を取得して療養することもできる
    雇用主の帰責事由によらないときは、無給でもよい
  3.  
  4. 高校生以下が始業延期又は休校(中文:停課)となり12歳以下の学童、幼稚園児又は心身に障がいのある学生を自ら世話する必要がある場合(211日~224日)
  5. 労働者が「防疫看護休暇」を選択でき、労働者から休暇取得の請求があれば雇用主はこれを与えなければならない
  6. 欠勤とみなし又は私用休暇等の他の種別の扱いを強要してはならない。精勤手当の控除、解雇その他の不利益な取扱いをしてはならない。
  7. 無給でもよい
  8.  
  9. 労働者が自主健康管理する期間
  1. 衛生主管機関の自主健康管理要請に応じ自身で決定して在宅休養
  2. 私傷病休暇、私用休暇若しくは年次有給休暇を取得、又は労使間で協議し就業時間を調整
  3. 雇用主からの自宅待機要求
  4. 雇用主には給与支払義務がある
  5.  
  6. 家族に病気又は自主管理の要求があり自分が世話をしなければならない期間
  7. 性別工作平等法に基づく「家庭看護休暇」の取得につき、雇用主は拒絶してはならない。その休暇日数は私用休暇の日数に参入し、年間7日を上限とする
  8. 家庭看護休暇期間の給与は、私用休暇の規定に準じて取り扱う
  9. 労働者が私用休暇を選択し又は雇用主と協議して年次有給休暇を充てることもできる
  10. 労働者が「家庭看護休暇」を申請した場合、雇用主は拒絶してはならず、また、欠勤扱い、精勤手当控除、勤務成績への悪影響その他の不利益な処分をしてはならない
  11. (労働部ウェブサイト《因應「武漢肺炎」防疫措施,有關勞工請假及工資給付規定之說明https://www.mol.gov.tw/announcement/2099/44209109年2月3日嚴重特殊傳染性肺炎中央流行疫情指揮中心函
  • 労働時間の短縮

行政院労働者委員会は、COVID-19の流行に対応して、時短勤務実施に関する注意事項(中文「地方勞工行政主管機關因應事業單位實施勞雇雙方協商減少工時通報及處理注意事項」)を定めました。雇用主は、景気の影響で休業や生産減少をする場合において、労働者と協議し同意のうえ、地方労働行政当局へ届け出れば、一時的に労働時間の短縮をすることができます。この労使の協議の際に締結する覚書の雛型も当局のウェブサイト上で公開されています。(労働部ウェブサイトhttps://www.mol.gov.tw/topic/3067/14531/

  • 海外への派遣

台湾から中国や日本へ出向していた社員を台湾に戻して待機させている企業も多くあります。海外旅行感染症推奨レベル(國際旅遊疫情建議等級)第3級(警告)に指定された国や地域に出向者を戻し又は出張者を派遣することについて、どのようなリスクがあるでしょうか。

  • 基本的な考え方

会社側には、感染リスクの程度を評価して必要な防護措置をとる義務があります。確かな必要があり労働者の同意を得た場合には、第3級指定国へ派遣することができるものの、新型ウイルスに関する情報も不確定な状況下において的確なリスク評価を行ったことを会社が立証することは困難ですから、できる限り派遣は避けるべきといえます。

  1. 業務上派遣が必要な場合

マスクや防護服、換気、衛生教育その他の防護措置を提供し、労働者に確実に使用させなければなりません。

  1. 給与やキャリアアップのために労働者本人が希望する場合

できる限り派遣は避けるべきといえます。派遣する場合も、企業が的確なリスク評価と完全な防護措置の提供について免責される訳ではないことに留意が必要です。

  1. 労働者が派遣を拒否

雇用主が必要な防護アイテムや防護措置を提供できないのであれば、労働者は派遣を拒否することができます。この場合、雇用主が派遣を強要すれば、労働者は労働契約を中途解約して退職手当を請求することができます。雇用主側は、派遣拒否を理由とした解雇その他の不利益な取扱いはできません。

(労働部職業安全衛生署ウェブサイトhttps://www.osha.gov.tw/1106/1119/28004/

(衛生福利部疾病管理署ウェブサイトhttps://www.cdc.gov.tw/CountryEpidLevel/Index/NlUwZUNvckRWQ09CbDJkRVFjaExjUT09

  • COVID-19感染の労災適用

労働者は、職務の執行に起因して負傷し又は職業病に罹患し、通院又は入院により就業できない期間が4日に達して、給与収入が少なくなった場合、職業災害給付を申請することができます。

労働部労働者保険局は、労働者が就業中にCOVID-19への感染を「確定診断された場合」、職業災害保険の傷病給付関連規定に基づく給付申請をすることができるとしています。

一方で、職務の遂行と関係のない旅行等に起因して感染した場合には、状況により、普通事故傷病給付の申請をできる場合があります。(労働部労働者保険局ウェブサイトhttps://www.bli.gov.tw/0100147.html

【お問合せ先】

パートナー弁護士     周泰維  

シニア顧問   松見 日帆子

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